税理士ブログ
青色申告の特典について
今回は、個人事業の青色申告の特典についてお伝えしていきます。青色申告をしているのに、受けていない特典がある場合には、ぜひ活用していきましょう。
1、専従者給与
白色申告の場合には、限度額(配偶者86万円、その他50万円)がありますが、青色申告の場合には、原則全額が必要経費に算入されます。「届出」が必要であるなど要件がありますので、お気を付けください。
2、青色申告特別控除
白色申告の場合には特別控除は一切ありません。青色申告の場合には、記帳の仕方によって2種類の控除(55万円控除又は10万円控除)があります。
3、純損失の繰越控除
いわゆる赤字だった場合、今年の赤字を翌年に繰り越して、その年の黒字を相殺できるかということです。白色申告の場合には、変動所得、被災事業用資産の損失に限って適用がありますが、青色申告の場合には、翌年以降3年間(震災税特法に係るものは5年)の繰り越し控除が認められています。
4、貸倒引当金
白色申告の場合には計上は認められておりませんが、青色申告の場合には、計上が認められています。
5、純損失の繰り戻し還付
白色申告の場合には適用できませんが、青色申告の場合には、前年分への繰り戻し還付請求の適用があります。
6、棚卸資産評価の低価法の適用
白色申告の場合には適用がありませんが、青色申告の場合には、適用があります。
7、現金基準
白色申告の場合には適用がありませんが、青色申告の場合には、小規模事業者(所得要件あり)は適用があります。
8、特別償却・割増償却
白色申告の場合には、一定の賃貸住宅の割増償却に限り適用がありますが、青色申告の場合には、一定の設備等を取得した場合に適用があります。
9、税額控除
白色申告の場合には、適用はありません(ただし震災税特法に係るものは適用あり)が、青色申告の場合には、一定の設備等の取得や試験研究費の増額等において適用があります。
以上、個人事業主の所得税青色申告の特典になります。
横浜で税理士・社会保険労務士をお探しの方は、田辺税理士事務所までご連絡ください。
(2020年11月23日)
青色申告特別控除
今回は、青色申告特別控除についてのミニコラムです。
青色申告特別控除は、青色申告をする個人事業主に認められている制度で、法人にはありません。青色申告特別控除には、「55万円控除」と「10万円控除」の2種類があります。「55万円控除」は、正規の簿記の原則に従って記帳していること、貸借対照表・損益計算書を添付して期限内に申告することが要件となりますので、要件としては「10万円控除」に比べて厳しくなっています。また、申告を電子申告により行っている場合など、「55万円控除」については、10万円上乗せの「65万円控除」となります。
税理士に確定申告を依頼した場合には、「65万円控除」を採ることもできますので、今まで税務署に紙で申告をされていた方も、今回の改正をきっかけに税理士に申告を依頼してみてはいかがでしょうか。
(2020年11月21日)
給与所得控除について
今回は、給与所得控除に関するミニコラムです。
先日、ブログに書きましたが、今年の改正で、給与所得控除が最低55万円となり、10万円減るという話をしました。これは、基礎控除が10万円上がるため、実質的な増税はありませんが、年収850万円超の方については、給与所得控除が195万円が上限となり、所得金額調整控除が受けられて調整される人を除いては、増税になります。
この給与所得控除とは、そもそも何なのか?というところです。個人事業をやっている人は事業所得という所得分類になりますが、経費にしたいものがある場合には、必ず領収書が必要です。サラリーマンの方たちの給与は給与所得になりますが、給与を得るために要した費用(たとえばスーツ代など)がある場合にはそれを申告すればよいのですが、サラリーマン全員が確定申告されてしまっては税務署はパンクしてしまいますし、サラリーマンの手間も増えてしまいます。中には税金の申告をしない方もでてきてしまうかもしれません。そのため、給与所得の人については、毎月の給与の際所得税を源泉徴収して、年末に調整をし、1年間の正しい所得税を計算するという流れになっています。そこで給与所得については、実際にかかった経費は見ずに、概算でかかった費用を控除してあげようという制度があり、それが給与所得控除となります。例えば、年収500万円の方ですと、144万円所得控除をしてくれて、給与所得は356万円となります。この給与所得控除額は、意外と多いなという印象かと思います。よく巷でサラリーマンは税金で損をしていると嘆いている方もいますが、144万円も「領収書のない経費」を認めてくれているんだ!と思うと、得をしている気にもなりませんか。
それでは、サラリーマンはかかった経費を申告することはできないのか?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実は「特定支出控除」というものがあり、サラリーマンが自分で負担した「通勤費」「転居費」「研修費」「資格取得費(平成25年分以降は弁護士、公認会計士、税理士の資格取得費用も認められています)」「帰宅旅費」「図書費」「衣服費」「交際費等」については、領収書をもとに控除を行う制度があります。平成25年に拡充されましたが、全員の人ができるわけではなく、上記の給与所得控除の半分を超えてこれらの支出をした場合に、「特定支出控除」が使えることになります。上記の500万円の年収のサラリーマンの例ですと、給与所得控除144万円の半分ですから72万円以上「自腹で」通勤費等を負担していれば対象になります。72万円以上これらの支出をしているケースは稀でしょうから、ほとんどの方が「特定支出控除」の制度をつかうことはありませんが、上記の給与所得控除額の減少やサラリーマンから個人事業主になる方の多い時代ですから、注目したい点になります。
(2020年11月21日)
「水」と「氷」の消費税の軽減税率について
今回は「水」と「氷」について消費税の軽減税率(8%)となるか、標準税率(10%)についてのコラムです。
1、「水」について
人が飲むもの、食べるものは軽減税率(8%)となります。そのため、「ウォーターサーバーの水」「ミネラルウォーター」は軽減税率(8%)となります。
水道水は、飲料水として使用されることもありますが、生活用水として使用されることもありますので、標準税率(10%)となります。
2、「氷」について
水と同じく、人の口に入るものである場合には軽減税率(8%)となりますので、食用の氷は軽減税率(8%)となります。
ドライアイス、保冷用の氷は、食用ではないので、標準税率(10%)となります。
生活に必要な水道水になぜ軽減税率が適用されないのか疑問の残るところです。ガス代、電気代も生きていくためには必要なものですから、こちらも軽減税率となってもよさそうですが、現在の制度では標準税率となっています。まだ始まったばかりの軽減税率制度ですので、今後の改正に注目していきましょう。
(2020年11月21日)
家賃支援給付金について
今回は、家賃支援給付金についてお伝えしていきます。こちらも持続化給付金と同様に申請期限が令和3年1月15日までとなっておりますので、まだ申請をされていない方はお早めに申請をしましょう。要件等は法人を前提とし、また代表的なものだけご紹介しておりますのでご承知おきくださいませ。
1、給付額
下記のいずれかの算式により算出した月額給付金の6倍、最大600万円となります。(個人事業者の場合には最大300万円となります)
月額賃料が75万円以下の場合・・・月額賃料×給付率3分の2=月額給付金
月額賃料が75万円を超える場合・・・50万円+(月額賃料-75万円)×給付率3分の1=月額給付金(最大100万円)
上記の「月額賃料」は、申請日直前の1カ月以内に支払った金額を算定の基礎とします。
2、対象者
・令和元年12月31日以前から事業収入を得ており、今後も継続する見込みであること
・令和2年5月から12月までの間に「新型コロナウイルス感染症の影響」を受け、「1カ月の売上が前年同月比50%以上減少」又は「連続する3か月の売上が前年同期間比30%以上減少」していること
「新型コロナウイルス感染症の影響により」売上が下がっていることが要件となりますので、他の要因を受けて売上が減少している場合には、要件に該当しないことになり、給付金を受け取った場合には不正受給となります。
売上については、国・地方公共団体から事業継続を目的として支給される協力金(持続化給付金を含む)を除いて計算します。
・転貸を目的とした取引、自己取引、親族間取引などは対象外です。会社の代表者から法人が借りている物件は対象外となります。
・令和元年中に設立した場合など、創業特例があり、給付の対象になることがあります
3、給付額の算定の基礎となる契約・費用
原則的には、「賃貸借契約」が基礎となります。「賃料」「共益費」「管理費」が対象となり、「電気代、水道代、ガス代」「保険料」「テナント会費」などは対象になりません。地代や駐車場も対象となります。共益費、管理費については、賃料と同じ契約書に記載されているものが対象になります。また、消費税額を含んだ額が基礎になります。
4、契約期間
「令和2年3月31日時点で有効な賃貸借契約があること」「申請日時点で有効な賃貸借契約があること」「申請日より直前3か月の賃料の支払い実績があること」が要件となります。
5、提出書類
申請の際には、下記の書類が必要となります。
・令和元年分の確定申告書別表1
・法人事業概況説明書 表面及び裏面
・受信通知(メール詳細) 電子申告している場合のみ
・売上減少月の売上台帳 令和2年〇月分と明確に記載すること 手書きの売上台帳でも可
・賃貸借契約書の写し 令和2年3月31日と申請日の両方で有効なものであること
・直前3か月の賃料の支払いを証明する書類 銀行通帳の表及び支払のページ、銀行取引明細書、領収書など
・給付金の振込をする口座情報
・自署の誓約書
6、不正受給について
事業廃止しているにも関わらず、支給申請を行った場合などは、不正受給となります。受け取った給付金に延滞金を加えた額の2割を加算した額を返還することになります。また、法人名などが公表され、告訴、告発されることもあります。
7、その他
・自己所有の土地、建物のローンの支払額は対象外
以上。家賃支援給付金の概要になります。支給要件に該当していて、まだ申請をされていない方はお早めに申請をしましょう。
横浜で税理士・社会保険労務士をお探しの方は、田辺税理士事務所までご連絡下さい。
(2020年11月21日)
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