通勤手当の源泉所得税と社会保険の取扱いの違いについて
通勤手当(通勤交通費)の源泉所得税と社会保険の取扱いに違いがあるのはご存知でしょうか。その点についてミニコラムになります。
まず、税法上、源泉所得税での通勤手当の取扱いですが、電車・バス等の場合、1カ月あたり15万円以下が限度額となりますが、「通勤のための運賃・距離・時間等の事情に照らして、最も合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券など金額」は非課税となります。
次に、社会保険(労働保険含む)では、通勤手当は、報酬に含むとされています。
算定基礎や、労働保険の申告の際には、通勤手当を入れて計算しないと間違いですので、注意が必要です。
今回のミニコラムで数字を用いて考えたいのは、下記の事例になります。会社は関内駅近くにあるとします。給与は2人とも30万円です。年齢は30代、扶養は無しとします。
Aさん 自宅徒歩圏内に在住 通勤手当0円
Bさん 静岡駅近くに在住 1カ月の定期代130,520円 定期券の支給をうけている
上記の前提で、社会保険がいくらの手取りになるかを考えていきます。
Aさん 30万円-健康保険料14895円-厚生年金保険料27450円-源泉所得税6850円=250,805円
(Aさんの報酬月額30万円)
Bさん 30万円-健康保険料21846円-厚生年金保険料40,260円-源泉所得税6,110円=231,784円
(Bさんの報酬月額430,520円)
となり、AさんとBさんで手取り額に19,021円の差があることになります。年間にすると228,252円の差になります。終身雇用の時代ではないですが、仮に大学新卒から65歳まで会社に勤務したとすると43年間で9,814,836円の差になります。
給与額は同じ30万円にもかかわらず、手取額にこれだけの差が出ることには違和感を感じてしまいます。
仮に、Cさんが勤める会社では、通勤手当を支給しておらず、自腹で静岡から通勤していたとしたら、どうでしょうか。BさんとCさんと比較したら、通勤手当を受けている分、社会保険料が高くなるのは仕方ないと考えられなくはありません。
いずれにしても、税金上と社会保険上で取り扱いが異なっていることで混乱を生んでいるのは間違いありません。
(2020年11月30日)
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